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個人としてももっと関わる時間が持ってケアをしたいという気持ちから当院に転職

看護師 吉田栞奈

 私は職業選択の際に、資格を伴う職業が安心と考えていました。高校時代に、理学療法士や作業療法士を選択することもできましたが、看護師の仕事が楽しそうに思えたので看護師になる道を選択しました。循環器の専門病院に就職した際、心臓系に配属を希望する者が多く、私は脳神経系に配属となりました。学生時代は、大まかなことを全般に学んではいましたが、就職してからはより専門的になり、人と関わることよりも勉強に時間を取られていたように思います。そういうしんどさはありましたが、一方で看護師をしているという実感はありました。担当する患者さんは、主に麻痺があったり、認知症の患者さんが中心だったので、ケアや援助をする中で、麻痺が治っていく様は自分が関わった達成感を感じる瞬間でした。スタッフ全員で関わるというチームワークや、その中で自分の行ったリハビリが役立つのはとても嬉しい瞬間でした。急性期病院では、そういう達成感は味わえましたが、入院期間が短いので『もっと深く関わりたい』という気持ちが芽生え始めました。個人としても、もっと関わる時間を持ってケアをしたいという気持ちから当院に転職しました。

看護師として、本人がしたいことをできるだけできる状態にすることを大切にしていきたい

 当院は終末期の方が多く入院されている療養型の病院です。私はこの病院に入職して以来、患者さんの日常生活が、その人らしく送ることができるように関わることを大切にしています。私が考える「その人らしく」とは本人がしたいことをできるだけできる状態でいて頂くことです。例えば、トイレに自分で行きたいと訴える認知症の患者さんがいました。私たちは訴えを否定せずに、どうすればできるかを考えました。おむつ中心の生活でしたが、1日1回はトイレでできるようになりました。頻回の声掛けにはしんどさを感じている、朝ごはん前後に行くことができるなどをよく観察していると、行けなかった人が行けるようになるケースがあります。「たぶん、できないだろう」という先入観は捨てて、「これならできそうなのになぁ」という意識を持つようになり、「とりあえず、やってみよう!」と考えるようにしています。世間では療養型の病院と言うと、寝たきりや点滴を打たれて単に生かされている感じの患者さんが多いイメージがあると思いますが、私は本人がしたいことをできるだけできる状態にすることを看護師として大切にしていきたいと思っています。

患者さんに楽しみを提供し、一緒に努力していくことができるのが看護師の仕事の魅力

 私は看護師という職業に就きましたが、実はコミュニケーションを取るのが苦手で、どちらかという好きではありませんでした。寝たきりの患者さんの対応が自分には良いと思っていました。また、当院のような療養型の病院では、入院生活を送る患者さんは一日中ヒマな時を過ごしていると勝手にイメージしていました。しかし、当院でレクリエーションがとても多く、患者さんはみなさん楽しそうに入院生活を送られています。終末期とは言え、患者さんは自分でできることが増える人も多く、自宅に帰る努力をしています。今では、私も高齢の患者さんと話すのがとても楽しくなっています。こうして、患者さんに楽しみを提供し、一緒に努力していくことができるのが看護師の仕事の魅力だと感じています。今後は、褥瘡についてもっと知識を増やしていきたいと思っています。皮膚の弱い患者さんのトラブルを未然に防ぐことができるようにして、患者さんが傷だらけの状態にならないようにしていきたいと思います。