皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
梅雨入りしましたね。紫陽花が雨雫に彩られ可愛らしく咲いています。
認知症を患い長期療養をしている90才代のkunieさんは、年齢を重ねるごとに慢性心不全の増悪と軽快の繰り返しが増えてきました。
私がkunieさんに初めて出会ったのは10年前です。kunieさんはしっかりと歩いていて、よく窓辺で一緒に娘さんや娘婿さんのお話をしたのを覚えています。その後私は、半年あまりで部署異動となりました。
それから9年が経ち、ふたたびkunieさんと出会い、看護をすることとなりました。
kunieさんは、車椅子生活からベッド上生活へと変わっていきました。認知症の進行も見られました。変わらないのはkunieさんをみつめるご家族の眼差しです。
ある朝、いつもと同じように“おはようございます”の挨拶で部屋に伺っていたとき、kunieさんは、私の髪留めに手を伸ばして「かわいいね、もう帰るん」と言いました。私は出勤したばかりでしたが、「うん」と頷いて返事をしました。するとkunieさんは、私の頭を優しく何度も撫でてくれました。
「もう帰るん」の言葉の続きは、『ご苦労様』なのか『気をつけてね』なのか『頑張ったね』なのか...。私をいたわってくれているのですね。kunieさんありがとう。
kunieさんらしい声を、表情を、仕草を大切に暮らせるお手伝いができればと思います。
スタッフの今夢中