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「人の役に立つ仕事をしたい」 40歳、まったくの未経験から飛び込んだ介護の世界

介護福祉士(教育担当)
藤田清美

 入職するまで介護はまったくの未経験。主婦をしながら子育てしてコンビニエンスストアでパートをしていました。ママ友が介護ヘルパーの仕事をしているのを見て興味をもち「私も人の役に立つ仕事をしたいなぁ」と思うようになりました。そんなとき、たまたま吉川病院が介護職の求人広告を出しているのを見つけました。ちょうどその日は私の40歳の誕生日。「これは何か縁があるのかも!」と応募、その後、面接をして採用して頂きました。ただ、パートを急に辞めるわけにはいかず、2ヵ月程待ってもらえないかと相談すると、「もちろん大丈夫ですよ」と快諾してくださり、採用が決まりました。そして、2ヵ月後初出勤の日、不安でいっぱいのまま、看護部長室をたずねると、面接をしてくれた当時の看護部長が、私の顔を見るなり、「待っていましたよ!」と満面の笑みで優しく迎えてくださったのです。思いがけないひと言で心が一瞬で和みました。未経験の私でも歓迎してもらえた嬉しさと希望を感じたことは今でもはっきりと覚えています。私も今は迎える立場、優しさと笑顔の声かけを常に心がけています。

未経験から3年の実務経験を経て介護福祉士に合格

 介護の資格には「ヘルパー」という資格もありますが、実務を3年経験すると国家資格である「介護福祉士」の受験資格が得られます。それを知った私は入職時に「よし、3年後には受験して必ず合格するぞ」と目標を定めました。当時は今のような実務者研修はまだなくて、とにかく現場で実務を覚え、試験対策は独学で行いました。受験を控えた3年目はもう必死です。フルタイム勤務ですので勉強は帰宅後。約1年は大好きな韓国ドラマも見ずに参考書2冊、過去問題集をひたすら繰り返して勉強しました。おかげさまでいっしょに受験した仲間とともに合格することができました。

体調を崩し退職を考えたが「できることをやってください」と言われ、指導担当に

 4年ほど前に持病もあり、オムツ交換や入浴介助などが体力的にきびしくなりました。周囲に迷惑を掛けてはいけないと思いもあり退職を考えました。看護部長に相談すると「体力的に無理なことは避けて、できることをやってもらえばいいですよ」と言ってもらえました。介護の仕事は大好きなのでじつは退職を申し出たものの後ろ髪を引かれる思いがあったのです。ちょうどそのころ海外から留学生や技能実習生の受け入れがスタートしていました。私はその指導係を引き受けました。それなら今まで経験してきた介護が役に立つからです。「技能実習指導員」の研修を受けて、日本語、介護の知識、技術を指導する立場になりました。

「その人の良いところを引き出す」ことを心掛けて接していくことを大切にしたい

 海外から来てもらった人には日本語を学んでもらい(日本語能力N3レベル)、技能実習を経て、最終的には日本の介護福祉士資格を取ってもらうところまで指導します。みんな一生懸命ですから、苦手も克服しようとがんばります。仕事ができないと思われたくなくて、「わからない、できないと言えない」「弱音をはけない」と自分を追い込んでしまう場合もあります。ですからまずは安心して質問などができるように日ごろからのコミュニケーションを大切にしています。笑顔で声をかけると笑顔で話をしてくれます。楽しいひとときです。それぞれ個性があって得意、苦手があるのが当たり前。それは日本人でも外国人でも同じです。それぞれの良いところを見つけて引き出せるように接しています。そして私自身も、みんなを介護福祉士試験合格に導けるように、語彙力を増やしたり、日本語の伝え方などももっともっと勉強していきたいと思っています。