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仕事の軸がようやく見えた7年目。最期までその方に寄り添い、支え合う存在でありたい

介護福祉士 獅子目遥祈

子どもの頃から私といつも一緒にいてくれた曾祖母が、高校2年生の頃に入院することになりました。当時の私は、毎日、面会に行き、曾祖母の手を握ることしかできずに無力さを感じていました。進路を考える時に、曾祖母に抱いていた気持ちや自分の好きなことを考えてみると、‟高齢者と関わっている自分が好き“という気持ちがわかり、介護の仕事を選びました。母が、介護施設で施設長をしていたので、お手伝いをさせてもらい、お金を貯めて、卒業前にホームヘルパー2級の資格を取り、この病院に就職しました。知識や技術も増えて、様々なことができるようになったのですが、7年間ずっとしっくりこない日々を過ごしていました。曾祖母に対する‟無力感”をずっと引きずっていました。しかし、「毎日、手を握りに行っていたあの日々が‟実は一番大切なことだったんだ“」とようやく気づくことができました。私たちの仕事は、大切な家族に自分ではできないことをご家族から託されているので、‟患者さんを介護する”という感覚ではなく、自分の家族のように大切に、最期までその方の人生に寄り添い、支え合う存在になれるのがこの仕事の魅力だと思っています。

失敗も成長に変え、みんなの「やってみよう!」が尊重される職場にしていきたい

21歳の時に介護福祉士の資格を取得しました。介護の仕事は、資格がなくてもできるのですが、やはり経験則だけで仕事をするのではなく、「根拠」を知り、「理屈」をわかったうえで実践するのとそうでないのでは全然違います。例えば、スタッフに指導する時の説得力です。スタッフからすると、納得して仕事ができるので、やらされ感が減ります。次第に、自分から「何故?」を問うようになり、仕事に意図が生まれてくると、自分のしていることにやりがいが生まれてくると思っています。職場では、介護責任者をしていますが、私は責任者ぶらず、常に素の私をさらけ出すようにしています。様々な感情をオープンにし、失敗しても恥ずかしがらずに、「ゴメン、失敗した」と素直に謝ります。スタッフが失敗した時も、何が良くなかったのかを確認し、次にどうするかを一緒に考えます。チームではみんなは対等、責任者も上ではなく、責任者という役割という認識をしています。だから、自由に意見を言い合えるように、みんなの意見を尊重し、「やってみよう!」という雰囲気づくりを心掛けています。

患者さんのご家族が、後悔する日々を続けなくても良いような関わりをしていきたい

私たち介護スタッフは、これまで、患者さんに寄り添うことがほとんどで、ご家族と関わる機会は少なく、ほとんどありませんでした。看護師が代表となってご家族と面会するケースが多いので、業務的なこと以外はコミュニケーションを取ることはなく、また、自身もそういう立場ではないと思っていました。しかし、そういう自分のスタンスは間違いだということに気づきました。やはり、私たちもご家族とコミュニケーションを図り、寄り添って、良好な関係を作っていきたいと考えるようになりました。それは、ご家族が患者さんに会えない分、私たちが患者さんの日常生活を伝えないといけないと思うからです。そして、私たちが大切な家族のように関わっていることも伝えないといけないと思っています。すべては、大切なご家族を預けているご家族自身が、かつての私のように無力さを感じないように、後悔する日々を続けなくても良いようにという想いです。常に謙虚さを忘れずに、ご家族にしっかり日々の暮らしを伝え、安心してもらえるような‟この病院を選んで良かった“と思って頂けるようなケアをしていきたいと思います。