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退院調整を通じて、自宅で過ごしたいという患者・家族の願いを叶える役割を担っていきたい

外来・在宅支援部門 推進看護師長
黒古直美

私は、中学生の頃、看護師をしていた親戚に影響を受けて、看護師になろうと思うようになりました。それは、女性が自立して生きていけることや、家によくお年寄りが訪れていた環境も影響していたと思います。看護学校に進学し、その学校を系列にしている病院に就職して、楽しい看護師生活を送っていました。その後は、2つの病院を経て、当院に勤めることになりました。当院で働く前から、地域連携室で退院調整の仕事をするようになり、退院調整の仕事に魅了されるようになっていました。当院の相談員とも以前より交流があり、タイミング良く地域連携室で看護師を募集していることを知らせてもらい、ご縁を頂き就職することになりました。医師・看護師をはじめとする医療従事者たちは、それぞれの役割を以て連携し、それによって患者さんのニーズに対応しています。その中で、私たち退院調整を主な業務にしている者は、医療従事者のみならず、地域の生活を支えている人たちとつながり、自宅で過ごしたいという患者・家族の願いを叶える重要な役割を担っていると考えています。

院内・院外に関わらず、連携する人たちを仲間と思えるのが、退院調整の仕事の魅力

地域連携室が最初の窓口になることが多いので、私たちの仕事は面談がとても多いです。特に転院されて来た患者さん、あるいはそのご家族はとても不安が多いように思います。私が大切にしていることは、まず、これまでの経過をしっかりと理解し、丁寧なコミュニケーションを心掛けて、患者さんやご家族に対して、労いを忘れず、安心してもらえるように関わることを大切にしています。「これまで頑張ってこられましたよね」と言うと、涙を流される方もたくさんおられます。また、優しい笑顔で接することを心掛け、本音を言ってもらえるようにすることで、病棟との適切なマッチングができるようにしています。また、退院後、自宅で安心して生活して頂けるようにするために、社会資源の有効活用を考えます。そのためには、院内・院外に関わらず、連携する人たちとの関係性が大切になります。自分一人では何もできないので、連携する人たちの立場や事情も理解して、進んで協力し合える関係づくりを大切にしています。その人たちのことを仲間と思えるようにつながることができるのが、退院調整の仕事の魅力でもあります。

「患者さんに対して、自分に何ができるか」をギリギリのところまで考える看護をしていきたい

当院に就職して驚いたことがあります。高齢の患者さんの息子さんが急死された時、お顔を見せるためにストレッチャーに乗せて葬儀会場に行くといったことがありました。私は、「そこまでするんだ」とある種の感動を覚えました。協力できることはやってあげたい、「患者さんに対して、私たちは何ができるか」をギリギリのところまで考える当院のスタンスを知り、これまで自分が抑制していた「やりたいんだけど、できないだろう」と考えるのではなく、患者さんのためになるギリギリのところまで考えるようになりました。患者さんが自宅に帰りたい、ご家族も患者さんに自宅で過ごさせてあげたいという思いに寄り添い、住むことができなくても、少しでも過ごせる時間を得てよかったと思ってもらえるように日々仕事をしています。コロナ禍になり、一時的な外出や外泊が難しくなりましたが、それらができる環境に戻れば、様々な資源をうまく使いながら、自宅で過ごせる機会をもっと作れるようなチャレンジをしていきたいと考えています。ペットに会いたい、孫に会いたい、家族との思い出を感じたい・・・そんな患者さんの願いを叶え、ご家族も安心できる関わりをしていきたいと思っています。