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患者さんへの関わりを自分で考え、そのことで良い関わりが作られていくことが介護の仕事の魅力

介護福祉士 山下千尋

介護の仕事をするきっかけとなったのは、19歳の頃、私の母親が働いていた施設で、働くことを勧められたことです。当時は、介護職については、「勉強してみても良いかな」というくらいの興味・関心でしたが、振り返ってみるとすでに15年になります。始めたころは、迷いもありましたが、利用者さんの笑顔など様々な表情に触れていくうちに愛しい気持ちも生まれるので、そういう関係性が生まれるこの仕事にどんどん魅了されていったように思います。自分が患者さん・利用者さんの立場となり、何をしてあげられるのかを考えて関わり、そのことで表情が変わり、それを見てさらにどう関わろうかと考えるその過程で、良い関わりが作られていくことが魅力だと思います。「忙しいのにありがとう」と言われたり、私の手を握って嬉しそうな表情をされるととても励みになります。介護職に就き3年経った頃に、介護福祉士の資格を取得しました。それまで見様見真似で仕事をしてきましたが、勉強したことで根拠を以て仕事をすることができるようになりました。「なぜ、どうして」と考えたり、知ることでメンバーにも適切に伝えることができるようになったと思います。

どんなに忙しくても、ひと呼吸おいて向き合い、優しさを忘れずに個別性を大切にしていきたい

私が介護をする上で大切にしていることは、どんなに忙しくても、ひと呼吸おいて話すことです。そして、患者さんの目線やペースに合わせコミュニケーションを取ることを心掛けています。声のトーンひとつも、様々な工夫が大切だと考えています。例えば、元気な患者さんには、こちらも元気に話し掛け、元気のない患者さんには、体をさすりながら声のトーンを落として話すといった感じで、状況に応じたコミュニケーションが大切だと思います。また、観察も大切なコミュニケーションです。一概には言えませんが、私の経験では男性は言葉少なく、人を頼るのが苦手なように感じた事もあります。そういった方には、背中をさすり、「大丈夫?」と声を掛けたりして、ホッとしてもらえることをスタートに関わるようにしています。反対に女性は話がどんどん拡がるので、人物像もわかりやすく、関わり方の選択肢がたくさん見つけられるように感じています。経験的に感じてきた傾向を述べましたが、実際には一人ひとり違うので、個別性を大切にして関わっています。そして、どんな患者さん・利用者さんにも優しさを忘れずに接するということを心掛けています。

この町の人たちのために一緒に働く外国人技能実習生が働きがいを感じる環境を作っていきたい

当院には様々な国の外国人技能実習生や留学生等がたくさんいます。彼らと私たち日本人だけでなく、彼ら同士もまた異なる国の人たちなので、言葉の壁だけでなく、文化の壁もあるように思います。彼らによると、日本語はたいへん難しいらしく、うまく伝えたいことが伝えきれないという悩みもあるようです。私は、一緒にこの町の人たちに介護を提供する仲間として、何とか彼らが働きやすい、また、働きがいを感じる環境を作ることができるようにしていきたいと思っています。私自身は、彼らとの関わりの中で、「ゆっくりと話してごらん、最後まで話してごらん」と正しく理解するよう心掛けています。その際の表情を観察したり、一人ひとりの性格を理解することが大切だと思っています。丁寧なコミュニケーションを図ることで、言葉や文化の壁を越えた信頼関係を築けるように今後も努めていきたいと思います。また、認知症の方が増えているように思います。表面的なことで判断せずに、しっかりと根拠を持って関わることができるようになりたいと考えています。認知症ケア専門士の資格取得も念頭に置いて、もっと深く学んでいきたいと考えています。