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介護職、飲食業を経て、「その人に応じた対応」に面白さを感じ、再び介護職にチャレンジ

介護福祉士
堂園由希子

高校を卒業後、1年間学童保育の仕事をした後、専門学校で半年間福祉を学び、特別養護老人ホームに就職しました。30年前の当時は、介護の仕事は世間では3K(きつい・きたない・きけん)の仕事というイメージがありました。ある日、利用者さんの最期の瞬間に直面しました。その方は「おおきに」と言って最期を迎えられましたが、人生の最期の場面に関わることができるこの仕事にある種の感動を覚え、この仕事をやって良かったと思いました。やりがいは十分に感じることはできましたが、当時はまだ若く、精一杯頑張るしかできず、精神的にも余裕がなく、4年で退職しました。その後、結婚し飲食業で働き、約10年の経験をする中で、その人に応じた対応、つまり、どうすれば喜んでくれるのか、何を望んでいるのかといったことを考えながら仕事をすることに面白さを感じるようになり、7年前にこの病院で再度、介護の仕事にチャレンジすることになりました。

良くなってもらいたいという想いを共有し、患者さんや仲間と共に喜び合えるのがこの仕事の魅力

私が仕事をする上で大切にしていることは、奉仕(サービス)の心を忘れずに、人を思いやるということです。そのために、笑顔を絶やさず、人に笑顔で関わることを常に意識して、相手に幸せを提供したいという気持ちで接しています。患者さんはどんな歌が好き、過去にはどんなことがあったなど、人それぞれ嗜好、価値観も生活環境も違うので、その人に応じた関わりが必要だと思っています。そういう想いを抱きながら仕事をしていると患者さんとのつながりも深まり、いっしょに喜び、楽しみを共有することができます。また、悲しい気持ち、寂しい気持ちも共有できます。愛しさが生まれ、仕事が休みの日でもレクリエーションに参加してしまうこともあります。また、仲間であるスタッフと患者さんに良くなってもらいたいという同じ想いを持って仕事ができるのも大きな楽しみです。寝たきりの患者さんが急に編み物をし出したり、突然起き上がったりする姿に共に喜び合えるのもこの仕事の魅力だと思います。

「共育」という考え方を仲間と共有し、スタッフと共に私も成長していける職場をつくりたい

昨年より介護責任者になりました。これまでの私は、重い任務は何とか避けたいと逃げていたと思います。上司が「私が育ててあげるから」と声を掛けてくれ、一気に心のもやもやが消え、私にもできるかも・・・、今から育てばいいのか・・・と前向きな気持ちになりました。私は、自分も成長、スタッフも成長、共に学び合うという意味で、「共育」という考え方を仲間と共有していきたいと思っています。早速、2022年の抱負をみんなに書いてもらい、休憩室に掲示することにしました。誰も嫌がらずに書いてくれたことが私には幸せなことですが、それ以上に、お互いに考えていることを知り合い、学び合う機会となったことが嬉しかったです。「あー、こういうこと考えてるんだ」「あー、私と考えていることが近い」などの気づきが、助けてあげよう、助けてもらおうという支え合うきっかけとなったようです。私たちの職場には多くの外国の方がおり、私は外国人技能実習指導員をしていることで、4か国語のあいさつ、自己紹介ができるようになりました。彼らは、外国で働いているので、彼らと同じ言語を使うことで、「私の事を知ろうとしてくれている」と、少しでも感じてもらい、一緒に楽しく働きたいと思っています。