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一生働き続けられる仕事の中でも白衣姿にあこがれてナースに

看護師 神野 美幸

 職業について具体的に考えたのは高校生の頃です。一生働き続けられる仕事をしたいと考え最初は幼稚園の先生になりたいと思っていました。でもオルガンが苦手だったので断念。次に浮かんだのは制服姿が凛々しい警察官でした。ところが受験資格に身長が足りないことがわかりこちらも断念。私はもともと制服姿が好きなんです。伯母が看護師だったこともあり最後にたどり着いたのが看護師でした。ナースキャップと白衣姿に憧れましたね。大阪出身でしたので大阪の看護専門学校に進学しました。入ってみると看護師のやることは注射もあれば沐浴もある。幅広くやることがいっぱいでたいへんだなと思いました。でも実習を通じてやりがいがありそうだとも感じました。看護学生のときは外科をやってみたいなと思っていました

最初はコミュニケーションがとりにくい患者さんも観察していくと糸口が見えてくるのが興味深い

 新卒で大阪の市民病院に就職し内科で3年、その後別の病院で外科や内科の看護を3年経験。新人時代は毎日走り回っているような状態で先輩たちに厳しい指導もいただきました。それでも患者さんから感謝の言葉をもらうと仕事にやりがいを感じました。結婚を機に三田市に引っ越し、8年間は2人の子どもの出産、育児に専念しました。下の子が幼稚園に行くころからパートで看護師に復帰。昼間だけの勤務でしたが、やりがいを感じ、子どもの成長とともに「もう一度正社員になってフルタイムで働きたい」と思うようになりました。夜勤がなくて正社員で自分の力を発揮できるところを探した結果、この吉川病院とご縁がありました。療養型病棟にいますので認知症の患者さんもおられます。入院された時はすぐにコミュニケーションがとりにくかったり、笑顔を見るのも難しい患者さんもおられます。そんな時でも入院時の情報を見ながら「これまでどんな仕事をされてきたのか」「どんな趣味をもっておられるのか」など考えて観察します。お名前を呼んで笑顔であいさつして「昨日は眠れましたか?」というふうに毎日声を掛けていくと少しずつ反応されるポイントがわかってきます。日中には歌を歌ったり、塗り絵をしたり、折り紙をするなどレクリエーションもありますが、そこでの表情など見ていると「あぁこの方はこれが好きなんだな」と会話の糸口が見えることがあり、それがこの仕事の興味深いところだと思います。それをスタッフ間でも共有しながら会話が広がるように取り組みます。笑顔で退院されるのを見ると「いい仕事ができたなぁ」と思います。

「家にいるみたいにリラックス」できるように入院生活を援助できることがこの仕事のおもしろさ

 地域密着の医療ですから患者さんとのお付き合いは長く続きます。ここ数年のコロナ禍では、患者さんがご家族と面会もできない環境が続きました。さみしい思いをされていたと思います。また入院が長引く患者さんもおられます。そういう患者さんには少しでも「家にいるみたい」に思ってもらえるような環境に近づけたいと思います。何を求めておられるのか、言葉にされない方もおられます。そんな時に大切なのは観察です。普段と違う表情などを見つけたらこちらから寄っていきます。そういう援助をさせていただけることがこの仕事のおもしろさだと思います。