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看護師の魅力は、出会えた方の人生に関わり、お役に立てた時に幸せを感じること

東病棟3階師長 吉田悦子

私は、子どもの頃から、風邪で体調がすぐれない人のそばに行きお茶を渡したり、駅でしんどくなりしゃがんでいる人を見ると「どうされました?」と声を掛けるなど、具合が悪くなった人に関わっていくタイプでした。そんな私に、父親が教えてくれた「看護師」という職業を知ったことがきっかけで、看護師になりました。最初に勤めた病院では外科にいましたが、その後の10年間、医療の現場から離れ、現在、看護師に復帰しました。看護師という職業の魅力は、

  1. たくさんの人と出会える
  2. 出会えた人の人生に関わることができる
  3. 何よりも、お役に立てることができた時に幸せを感じることができる

だと思っています。医療療養型の病院で勤めるのはこの病院が初めてですが、意思疎通が難しい方もたくさんいます。しかし、患者さんやご家族とのゆったりとした関わりの中で、それぞれの人にそれぞれのヒストリーがあることを知り、それを大切にしながら関わっていけることはとても有意義に感じています。

私生活に負担が掛からない配慮をしつつ、仕事がうまくいった時は、目一杯褒めてあげたい

1年前に現在の病棟を立ち上げました。私の職場には子育て中のスタッフ、常勤のスタッフ、パートで働いているスタッフ、外国人留学生や技能実習生など様々な生活背景を持っているスタッフがいます。それぞれの生活背景を踏まえて、仕事によって私生活に負担を掛けないように配慮しています。また、スキルを考えると、それも様々です。スキルが不足しているスタッフには、まずはしっかりと教育をし、ある程度のスキルを持った者にはやりたいことを問いかけながら指導しています。一人ひとりの芽を摘まないように、全員でバックアップし合うような職場づくりを心掛けています。仕事をする上で、患者さんやご家族を思い、スタッフそれぞれが適切な関わりを心掛けていますが、時にはうまくいかない時もあります。そんな時もメンバーを責めません。誰しも、うまくいくように最大限の努力をしているからです。逆に、うまくいった時は、目一杯褒めてあげたいと思っています。これらのことを大切にして1年が過ぎましたが、苦労を共にしてくれるメンバーと巡り合い、日々感謝の気持ちを忘れずに仕事ができることに幸せを感じています。

もっと患者さんの生活に入り込み、コミュニケーションで問題を解決できる人材を育成していきたい

この病院の良さを挙げるならば、看護師と介護スタッフの関係を越えて、共に患者さんに向き合う、お互いに「知らない・わからない」を減らすことを意識して取り組んでいることだと思います。様々なトラブルは、「コミュニケーションの力で解決できないことはない」というのが私の信条です。当院は兵庫県4DAS(認知症機能訓練システム)を推進しており、病院でも活用できないものかと取り組みを始めました。患者さんとの関わり方で、もっと生活に入り込めるように、コミュニケーションで問題を解決できる人材を育成していきたいと思います。個人的には、スピリチュアルペインに興味があります。寝たきりの方、認知症の方、あるいはご家族など言葉にできない、声に出せない辛さというものは誰にもあるものだと思います。一人ひとりのヒストリーや価値観を大切にしながら、カルテには記載されないストーリーを知ることで、患者さんやご家族の中にある辛さや痛みを減らすことができるのではないかと考えています。そういう意味では、まるで家族に話すかのように「ポロっとでた情報」はケアをする上でとても重要な情報です。「吉田さんに相談すれば何とかなるかも」と話してもらえるように、スピリチュアルペインの学びを深めていきたいと思います。