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わからへん なんにもわからへん

 皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。日本のあちらこちらで春一番が吹きましたね。木々や地面に小さな芽吹きを見つけます。
 90才代のyukikoさんは視力低下、胃亜全摘術既往があり、かなりの円背で車椅子生活をしていました。入院が長引く中で、yukikoさんは「わからへん、なんにもわからへん」と言うことが増えてきました。朝昼夕や季節などがわからなくなり、スプーンの使い方も忘れてきたのです。フロアでほかの患者さんたちと一緒に食事をすることで、周囲のようすを見てなんとかスプーンを使い自分のペースで食事をしていました。それでも「わからへん」はどんどん増えていくのです。スタッフたちは「私がおぼえていますから大丈夫ですよ」と声をかけていました。そんな中、介護福祉士の一人が「はるちゃんがおぼえているからいいよ」と毎日話していました。

 ある日私がyukikoさんに「こんにちは」と声をかけるとyukikoさんは「はるちゃん、なんにもわからへん」と言うのです。

吉田「はるちゃんですよ、はるちゃんがおぼえているからいいよ。大丈夫ですよ」

yukikoさん「はるちゃん、おねがいね、ありがとう。なんにもわからへん」と話します。

この日から私もはるちゃんになりました。yukikoさんにとって、はるちゃんは安心できて頼りになる存在となっていました。

患者さんと話すときは「吉田です」と自己紹介をしていますが、「吉田」が覚えにくい方には「吉田悦子です、えっちゃんです」と言うようになりました。今では、「えっちゃん、ちょっといい、話いい?」とナースステーションまで来る患者さんも数名います。患者さん同士で「あの人、えっちゃんよ」と私のことを紹介してくれている場面(笑笑)もあります。
 吉田さんでも、えっちゃんでも、看護師さんでも、師長さんでも、顔を覚えてくれているだけでもいいのです。頼りになる馴染みの一人になれるといいですね。

スタッフの今夢中
  • CM今川さん
    二胡とサックスを始めました。吉川病院で音楽部を結成するのが夢です。興味ある方は是非一緒に音楽しましょう!

  • 地域連携 冨田さん
    家族団らんの時に、1年生の娘を大爆笑させることに夢中です!娘は、父の突っ込み話術で大笑いしています!