皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
木枯らし、冬暁、冬を感じるようになりましたね。
東京出身の90才代女性のtakakoさんは、食欲低下とともに活動性が低下して入院してきました。自分でなんとかベッドから起き上がって車椅子に座っていましたが、しだいに寝返りもできにくくなりベッドで過ごす日々になっています。
少食のtakakoさんは、なかなか食事に手をつけようとしないので、お膳や補食のジュースとにらめっこしているみたいに見えます。「お食事どうぞ、美味しそうですよ」と声をかけられると、takakoさんは「そうね、食べるわね」「美味しくないわね」「もういらないわね」と小さな声だけど歯切れよく話します。
12月になり少し冷えた朝、私は出勤していつものように、患者さんへの朝の挨拶でお部屋をまわっていました。いつもと違うのは、私の手を温めていなかったことです。季節がわからなくなりがちな患者さんに、冬が来たことを伝えたかったのです。
「takakoさん、おはようございます。私の手を触ってみてください、とても冷たいですよ」と手を差し出しました。私の手を握ったtakakoさんは、突然目が覚めたように目を大っきくして「ほんと‼冷たいわね、あなたどうしたの?」と問いました。「いま、外から来たところです。今朝は冷えていますよ。冬が来ましたね」と伝えました。takakoさんは「ほんと冬だわね。あなたも気をつけなさいね」とニコニコした温かい笑顔(優笑)で気遣ってくれました。
takakoさんは、冷たい手で冬をお裾分けした私に、温かい気持ちを分けてくれました(嬉笑)。
最近は、少食ながら「美味しいわね、お腹いっぱいだわね」と食事をするtakakoさん、私も一緒に「美味しいわね」と話しています。
私は、takakoさんの小さな歯切れのよい声が心地よくて大好きです。いつまでも聴いて
いたいと思うのです。
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ほんと‼冷たいわね
スタッフの今夢中