3病棟3階看護師長
奥枝美保子さん
吉川病院に勤めて二十余年、主任を10年間経験した後、2024年11月から師長になりました。それまでは頼りになる看護師長の下で補佐をしていましたが、いざ自分が師長になったら患者さんのこと、スタッフのこと、業務のこと、すべてを自分の責任で判断しなければいけません。毎日があっという間に過ぎていくという感じです。勤務表をつくるにしても人数を確保するだけではなく、ベテラン、中堅、新人といろんなキャリアの人がいますし、さまざまな業務にも得手、不得手があるからバランスよく配置をしていく必要があります。だから日ごろからスタッフそれぞれの強みや個性を知っておかねばなりません。
主任のときは「師長がいるから」という安心感がありました。自分が師長になってそんな安心感をみんなに与えられているかなと感じることもあります。みんなが疑問に思ったこと、不安に感じたことなどを気兼ねなく言ってくれるようにしたいと思っています。
試行錯誤を繰り返しながらも、みんなの負担を減らしながら、やりがいを感じてもらいたい
私は「こんな師長になりたい」といったビジョンがあったわけではありません。だから師長になってみんなに「みんなの意見を聞きながら話し合って決めていきたい。どんな職場にしたい?」と聞きました。するとみんなが「もっと患者さんに深く関わっていきたい」と思っていることがわかりました。そこでそれまで大きく2チーム制だったのを4チーム制に変更し、患者担当を看護師と看護補助者の二人一組にしました。それにより担当患者の数を減らすようにしたのです。ねらいは、看護師が一人の患者全体を見てアセスメントして個別性に対応できるようにするためです。療養型の病棟ですから長期入院の高齢者も多く、一人ひとりの生活のリズムも違います。チームを小さく分けたほうがフレキシブルに対応ができると考えたのです。もちろんそれまでとやり方が変わりましたからスタッフに戸惑いもあり、今もまだ試行錯誤の連続です。でもみんなが「やりたい看護」に近づいているのではないかと思います。師長としては退職者を出さないことが大きなミッションでもありますから、みんなの負担を減らしながら、やりがいを感じてもらいたいと思っています。
忙しいときでも対話をして、思いや希望を聞くように心がけ、看護の質を高めていきたい
私自身は自分がなんでもできるというタイプではありません。うっかりミスもしますし、抜けているところもあります(笑)。スタッフに自分の考えを伝えたいと思っていてもうまく言葉にできないこともあります。そんな私をスタッフみんなが支えてくれているのでとても感謝しています。だから私は忙しいときでもみんなとできるだけ対話をしてそれぞれの思いや希望を聞くように心がけています。スタッフが満足できる職場じゃないと、患者さんが満足できる看護ができないと思うからです。ギスギスした職場だと患者さんにもきっと伝わります。私が経験上、気をつけているのはどんなときも感情的にならずにきちんと話を聞いて判断すること。スタッフ一人ひとりの力を引き出して助け合いながらやっていきたいです。