皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
腰痛で動けなくなり入院してきた80才代の女性takakoさんは、車椅子生活をしながらリハビリを続けて1ヶ月半が過ぎました。最近では腰痛も減り、ベッド周囲や病室前の廊下まで伝い歩きできるようになりました。
もの忘れが多いtakakoさんですが、車椅子生活の中で、車椅子が自分の椅子だと思い車椅子を探しています。しかし、車椅子のブレーキ操作は覚えることができませんでした。
ある日、病室のドア前で立つtakakoさんと車椅子を押すスタッフが向かい合っていました。通りかかったとき、目を三角にして怒った顔のtakakoさんを見ました。すかさず、「takakoさん、こんにちは。何かお困りですか?」と声をかけると、takakoさんは、「歩こうと思ったのに、これ(車椅子)に座ってと言うのよ。」と言いました。「あらあら大変、では私と一緒に歩きましょう。」と差し出した手をtakakoさんはしっかりと握り、歩き出しました。時々「ありがとう、忙しいのにごめんね。嬉しいわ。」とつないだ手をぎゅーっと握ったり、もう片方の手でさすったりしながら言うのです。そして、娘さんと私が同じ名前のことや、娘さんははっきりした性格だけどとても優しいことなど、いつも話してくれる話をするのです。自慢の娘さんなのですね。
その日から、takakoさんには車椅子ではなく、名前を記した椅子を廊下に用意しました。takakoさんは、自由に椅子を引いて座るようになりました。
今では、長い廊下をtakakoさんとスタッフが手をつないで歩く姿をよく見かけます。takakoさんのニコニコの笑顔と「ありがとう、ありがとう」の声、スタッフの優しい眼差しがあります。二人を見かけて微笑むと、takakoさんがつないだ手を宝のように持ち上げて見せてくれるのです。(嬉笑)
まさに、手をつなぐことは、何百もの言葉を交わすよりも雄弁ですね。

公開日 更新日



