公開日

佐田啓二に会いたい

 皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
 皆さんは、ファン・マニア・オタク・追っかけをしていますか?最近では「推し」「推し活」なんて言いますね。そんな方々が推しの話をする時は、本当に楽しげでエネルギッシュです。
 80才代女性で英語教師をしていたtoshikoさんは、認知症を患い入院してきました。会話がなかなか続かず、いつも「パパ、パパ、」とご主人を呼んでいました。自分から話しかけることは少なく、スタッフや家族からの声かけに応えるといった様子でした。
 私は、朝に「グッドモーニング、トシコティーチャー」と声をかけ、toshikoさんは「Good morning」と返してくれます。夜は「グッドナイト、トシコティーチャー」に「Good night」
の挨拶です。最近では、挨拶に時間がかかることが増えてきました。
 2025年を迎え、スタッフたちが患者さんの願い事を絵馬にしていました。toshikoさんに願い事を尋ねていたM看護師が、「師長、toshikoさんの願いは『佐田啓二に会いたい』ですよ」と、ニコニコと嬉しそうに話してくれました。『佐田啓二』がわからずキョトンとしている私に、『中井貴一のお父さんで二枚目俳優』だと教えてくれました。
 toshikoさんの娘さん(yurikoさん)が面会に来た時に、toshikoさんが佐田啓二と同じ大学だったので、いつも佐田啓二の話をしていたことを教えてくれました。そしてyurikoさんは、「覚えていたのね。ハンサムが好きだから」(嬉笑)と言っていました。
 M看護師は、toshikoさんの嬉しげな表情を見たことでしょう。私もtoshikoさんの記憶と楽しげな推し活を想像してワクワクしています。
 認知症を患っても、会話がしづらくなっていても、覚えているのです。記憶が暮らしの潤いにもなるのです。その人らしさの暮らしぶりに、想像力と創造力を持つことの大切さを教わりました。toshikoさん、yurikoさん、季節のアクティビティを企画してくれたスタッフに感謝します。

スタッフの今夢中
  • 三好ナースの夢中
    先日生まれた双子の男の子の孫に夢中です。
    保育器に入っているので抱っこが出来るのは春頃かな🌸
    孫たちの成長が楽しみです。