皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
ずいぶんと昔、私が勤め先の病院を変わって20代の頃に出会ったsoumaさん40から50才代の女性の患者さんと、henmi師長のお話です。
soumaさんは確か司法書士のお仕事をしていたと覚えています。とても小柄で華奢な方でした。肺癌を患い入院していましたが、私が思い出すのは、常に清潔で片づけられている殺風景な部屋の窓辺のベッドで、真っ直ぐ上を向いて寝ておられた姿です。そしてsoumaさんのお母様が傍らにそっと居る様子です。
ある日、soumaさんが部屋に訪れた私の名を呼んで「初物ですからどうぞ、いっしょに、」と置いてあるサクランボをしめされました。私は「ありがとうございます。お気持ちだけ頂きますね。」と返事しました。
その日の仕事の最中に、ナースステーションの冷蔵庫の上にサクランボを1つ見つけました。そのサクランボはサランラップで丁寧に包まれ大切に置かれていました。立ち止まってサクランボを見ている私に、henmi師長が「soumaさんに貰ったのよ、初物だからって」と笑顔で優しく言いました。
私は、なんてことをしたのだろうと哀しくなったのを今でも思い出します。初めて勤めた病院で、[患者さんやご家族から品を貰ってはいけない]と教育を受けていた私は、サクランボを素直に頂くことができなかったのです。
『やる気スイッチ』という勉強会に参加した時、{あなたの憧れのナースは?}の問いに、私はhenmi師長のことを憧れのナースだと発表しました。患者さんと同じ時間を過ごす大切さを学んだからです。
soumaさんは苦しいときも私の名を呼んで「助けて」と言ってくれました。いまでも自分がsoumaさんの助けになれたのかはわかりません。
それでも、soumaさんの気持ちを両手でしっかり頂いています。
公開日
初物ですからどうぞ、いっしょに
スタッフの今夢中