皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
80才代男性のyoshiyukiさんは、嚥下機能が低下して誤嚥性肺炎をくり返し、ベッド上の生活となり、食事をすることは難しいと入院してきました。
yoshiyukiさんは、認知機能の低下がありましたが、とてもお喋りでした。時折、施設生活となっている奥さんの心配をして尋ねることもありました。「お元気ですよ。」と応えると「おおきに。」というのです。口癖は、「お世話になります」「おおきに」と「お茶呼んでーなぁ」「パン買うて来てーなぁ」でした。なんとか少しでも食べられないかと、車椅子に座る練習から始めて、少しのとろみ茶を飲み、やがて、少しのミキサー食をお昼だけ食べられるようになりました。
私は、早く食べようとするyoshiyukiさんの食事をそばで手伝います。yoshiyukiさんがスプーンですくう量と口へ運ぶタイミングをサポートするのです。食事の準備を始めるとyoshiyukiさんはきまって、「お世話になります。」と言い、私が「はい、お世話しますね。」と応えるのです。そして、食べこぼしの口を拭くためにタオルを渡したり、器を手に渡したり、「美味しいねぇ。」と話したりします。そうしていると、yoshiyukiさんが、「親切に、おおきに。」と言ってくれるのです。そんな日が2週間ほど続きました。しかし、yoshiyukiさんは、しだいに食欲が低下して、食事ができなくなりました。
食事ができなくなってからも、yoshiyukiさんの「お茶よんでーなぁ」は続きました。ほんの少しのとろみ茶を口にするだけで、満足感のない日々が続いたのです。
ある日、面会に来た娘さんが、「これなら口の中でとけませんか、だめでしょうか?」と、ラムネを持ってきていました。ほんの小さなラムネを舐めるのでさえ難しいyoshiyukiさんでしたが、私と娘さんで相談し、ラムネを砕いてちょっとずつ舐められるようにしました。ラムネの甘さが口いっぱいになったのでしょうか、yoshiyukiさんは、「おいしい、おおきに。」と、二口舐めました。
いつも、充分に満足ではないはずなのに、yoshiyukiさんは、「おおきに」をたくさん伝えてくれました。「おおきに」に助けられたのは私のほうです。
yoshiyukiさん、大いに有り難し。

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看護管理研修 第12回 

















