看護師 山口雅代
関東で美術系の短大を卒業後、そのまま舞台美術、印刷オペレーター、グラフィックデザインの仕事をしていました。デザイン系の仕事は自分ひとりで黙々と取り組むことが多く孤独感を感じながら働くこともありました。働いて5年くらいしたころでしょうか。父親が脳梗塞で倒れたのです。私は実家の兵庫県に戻り母とともに入院中の父を見守りました。そのときに父や私たちに気を配ってくれる看護師さんの姿がとても心強く「患者さんや家族を安心させる仕事ってすばらしいなぁ」と思いました。そしてチームワークで患者さんを元気づける姿に、それまで考えたこともなかった看護の仕事に興味を持ちました。デザインの仕事をこの先も続けるかを考えていたこともあって、母に相談したところ「手に職を持つことはいいこと。応援するよ!」と背中を押してくれました。もしかしたら関東で一人働いていた私を心配していたのかもしれません。そこで実家に戻り、27歳で兵庫県の看護専門学校に入学しました。看護実習には苦労しましたが社会人経験のある同級生がいたので楽しく過ごせました。卒業後は総合病院に就職しました。急性期の病棟だったので、次から次へと患者さんが代わっていきます。1年働いた後に慢性期病棟が中心の吉川病院に転職し、この春で2年目を迎えています。
患者さんは体調が悪くても我慢することも多い。だから日ごろの観察が大事
転職して1年経ちました。だいぶん慣れてきたもののまだまだ覚えることがいっぱいあって四苦八苦しています。でも今年で看護師としても3年目なので一人前にならなくてはと思っています。
どんな患者さんにもしっかり話を聞いて、患者さんが望むことをしてあげられるようになりたい。でも、関係構築って思うようにはいきません。認知症のある方だとその知識がないと対応ができないこともあります。「大丈夫」って言われてもその言葉の後ろにある小さな変化を観察しておく必要があります。いろいろこちらが聞こうとしても「会話自体がしんどい」と言われてしまうこともあります。先輩方を見ているとちょっとしたことに違和感をもつセンサーがあるんです。患者さんの言葉だけでなく、体全体を見ながら呼吸状態とか皮膚の色とか、いろんなところを観察しながらいつもと違うところがないかを瞬時に見つけ出すのです。患者さん自身が自分の体調がよくないことに気がついていないこともありますし、少し体調が悪くても我慢して口に出さないこともあります。
でも体調が悪くなるときには何らかの兆候があります。それを見落とさないためにはやはり勉強が必要です。教科書で習ったことだけでなく、新しい本やネットで調べたりします。疾患はいろんな条件が複雑に関係しあいながら症状が現れることもあるので、勉強したことがすぐに役立たないこともあります。そんなときは先輩やドクターに聞きます。教えてもらったことがすぐにはわからないこともあります。でも後から「これがそうなんだ!」ってわかるときもあります。だから経験するってことがすごく大切だと思います。
慢性期病棟では拘縮防止や褥瘡管理が重要。いろんな工夫を重ねていきたい
今、力を注いでいるのは拘縮の防止や褥瘡管理です。慢性期病棟で長期に病床にいると床ずれができたり、拘縮が進行したりすることが多いです。それをいかに抑えるか。クッションの向きを変えたり、体位変換を行ったりいろいろ試すなかでいちばんいい方法を探しています。どうすればいい結果がでるのか、自分で考えて実際にやってみて、自分で感じること、経験することが大事です。
今は7人くらいのチームに属していて、ポジションとしてはまだまだ新人です。ミスをせずにしっかりと業務をこなすことでみんなから信頼される看護師になることが今の目標です。



