皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
90才代男性のmichihiroさんはとても大柄です。脳梗塞を患い拘縮も進み、ベッド上生活となり施設で過ごしていましたが、嘔吐と蜂窩織炎で入院してきました。治療の甲斐あって炎症は改善しましたが、自分ではできないことが増えました。
michihiroさんは、私やスタッフからの挨拶やお世話の時の声かけに、大柄な体つきにはちょっぴり不似合いな甲高い声で、「はい、」とこちらを向いて応えてくれます。会話のやりとりは少し難しく、声の調子や表情でコミュニケーションしていました。そんな中、肺炎を起こして病状が悪化してしまいました。私はmichihiroさんの人柄を充分に知らないままとなったのです。
大勢の家族や親類が面会に来られ、michihiroさんは家族に看取られました。エンゼルケアに家族も同席してもらいました。娘さんは、お父さんの顔を優しく拭きながら、お父さんにお礼を伝えていました。息子さんは、「よう頑張ったな。こわい親父やったなぁ」(微笑み)と話しました。私はmichihiroさんの身体を拭きながら、「そうなの、こわいお父さんだったのね。」と声を返しました。息子さんは、「子供のときは、よう殴られた。追いかけられてな、よう走って逃げとったなぁ。」(懐笑)と思い出を語りました。
そして、息子さんは悲しみのうちに「よう長生きした。」と呟きました。
私の、michihiroさんや娘さん、息子さんを支える立場でありながら、それでもmichihiroさんの人となりを知らずに看取った虚無感を息子さんが消してくれました。
お父さんのmichihiroさんが、小さな息子さんを追いかけている姿を想像することができて幸せです。

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