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急須でお茶

 皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
 看護師の仕事をしていると、大勢のご夫婦に出会います。患者さんのご夫婦、患者さんの子供さんやお孫さん、兄弟姉妹のご夫婦です。夫婦の形はさまざまです。
 先日の絆カフェ(認知症カフェ)での出来事です。M夫妻は毎月、絆カフェに揃って参加しています。夫のmasahiroさんは、体格は大柄で右半身麻痺と言語障害があり杖歩行です。先月masahiroさんは、転んで右肩を骨折してしまい不自由が重なっています。妻のkyokoさんは、小柄で腰がずいぶんと曲がっています。絆カフェでは、二人が互いを気づかい思いやっている姿をよく見かけます。
 その日は絆カフェで、心と体が『暖まる』についてのお話やゲームや体操をしていました。心が暖まる方法の1つとして、好きな食べ物のイラストを指さすゲームがありました。スタッフたちが会場をぐるりと食べ物のイラストを持って立っていました。参加者全員が「せーの」のかけ声で指さしました。なんと、すき焼き・焼き肉・唐揚げの人気は圧倒的でした。(笑笑)
 私の目の前に座っていたM夫妻は、振り返りざまに私の持っているイラストを同時に指さしたのです。とたんに私は、お二人がテーブルにつき温かいお茶を啜り、ホーッと一息ついている姿を目に浮かべました。私が持っていた緑茶と急須のイラストを指さしたのはM夫妻だけでした。kyokoさんに私は、「びっくりしちゃった。揃って一緒でしたね。いつも二人でお茶をしているのね。目に浮かぶわ。」と思わず声をかけ、kyokoさんも「私もびっくりしたわ。お父さん、お寿司だと思ったけど、(微笑)」と話しました。ほうじ茶好きの私は、びっくりしただけでなく、なんだか一緒にお茶をいただいたような気分になり、文字通り心が暖まりました。(嬉笑)
 年を経て、年をとり、今ではお互いの体の不自由を感じながらも、一緒の時間を大切にしてきた姿、『夫婦仲良ければ、とげ石の上にも立つ』。とても素敵なご夫婦の一絵に出会えました。
 末永くお二人でお茶を啜ってくださいね。