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きもちがいい

 皆さん、こんにちは。病棟看護師の吉田です。
 87才男性のkanemasaさんは、コロナウイルスに感染してから、誤嚥性肺炎をくり返して食事が摂れなくなり、1月に入院してきました。
 kanemasaさんは、首や腰が硬くなり、足は尖足で立つことができなくなっていました。ベッド上の生活が続いたせいか、認知機能の低下も進んでいました。
 kanemasaさんらしい生活を取り戻そうと、まずは毎日、リクライニング車椅子に乗ってもらい、得意の歌を歌ってもらいました。レクリエーションに参加したとき、歌好きで世話好きのkanemasaさんは、誰よりも大きな声で歌い、そして皆さんの歌を褒めていました。
 いつもスタッフに髭剃りや歯磨きをしてもらっているkanemasaさんへ、私はある日、手鏡と髭剃りを手渡し、また歯ブラシを手渡し、自分でできるようにお世話しました。少しまだらな髭剃りと、磨き残しの歯磨きを「仕上げは私がしましょうね」と手伝い、口の中をきれいに拭き終わると、kanemasaさんが「きもちがいい」と言ったのです。私は「良かったです。お口の中がスッキリしましたね。」と返事をしました。kanemasaさんは、ちがうちがうと手を振り、じーっと私を見て、私を指さし「あなたの親切が、きもちがいい。」と言ってくれたのです。kanemasaさんの、なんとも優しく微笑む表情は忘れられません。私は、「まぁこちらこそ、そんなふうに褒めてもらって気持ちがいいわ。」と思わずハグしていました。
 また偶然に、kanemasaさんの入院は、高校の同級生が入院しているベッドの隣でした。二人ともベッド上生活でしたが、入院後しばらくして、会話の内容や声で、互いが相手に気づいて、私たちに自分たちが同級生だと教えてくれたのです(驚!笑)。二人は不自由な生活になっていましたが、いつも互いを褒め合い、kanemasaさんは友に、「頑張ろうぜ!」と声をかけるのです。
 ある朝、訪室すると、2月に88才を迎えたkanemasaさんの胸に、『米寿だもの』の黄色いタオルが抱かれていました。ご家族がお祝いに用意したものでした。
長寿kanemasaさんに、今もたくさんの者が励まされています。ありがとう。