介護福祉士 西本真知
高校時代は看護師になりたいという気持ちはありました。しかし、進学はかなわず電気メーカーの設計の事務職に就きました。4年間勤務して結婚。専業主婦として4人の子育てをしました。4人目の子どもが幼稚園に入るころからパートの仕事を探し始めました。福祉関係に興味があったので、吉川病院で介護職の仕事を見つけてこの仕事に飛び込みました。仕事に就くまで介護職の仕事にもっていたイメージは「患者さんと会話をしながら、その希望をかなえていく」といったものでした。しかし、実際はご高齢、寝たきり、重症の患者さんが多くてコミュニケーションをとること自体が困難な患者さんが多いことにびっくりしました。週5回の半日勤務を続けて1年くらい経ったころには言葉を発することのできない患者さんでも意思疎通ができるようになってきました。目の動きや表情などで喜んでくれている、不快に思っているなどが伝わってくるようになったのです。介護職の仕事のおもしろさがだんだんわかってきました。
とはいえ、毎日の仕事はたいへん。パートとは言え患者さんに対する責任もあります。「この仕事は私に向いているのかな」と思うこともしばしばあり5年くらい働いた後にいったん職を離れました。そして半年くらい工場のラインの仕事をしてみたのです。でも、どうもやりがいを感じられません。そんなときに看護部長から「もう一度やってみませんか」と声をかけてもらい、再び介護の仕事に戻ってきました。
介護福祉士の資格をとって、自分に自信がついてさらに勉強する気がわいてきた
復職した私は今度こそ本気で取り組もうと思い正社員にしてもらいました。そして介護福祉士の資格取得に向けて勉強を始めました。もともと勉強は好きなほうではありませんでしたが、介護の仕事をしながら勉強をすると「そういうことなんだ」と現場での経験と学習内容がつながっておもしろいのです。そうして勉強がはかどり1回で合格することができました。資格をとって良かったのは自分に自信がついたことです。資格はなくても仕事はできます。でも身に付けた知識が現場で役に立つと、もっと勉強をしたいと思うようになり、自分の意見も言えるようになりました。
認知症の患者さんも増えているので、患者さんの気持ちをわかるようになりたい
この仕事の魅力はなんと言っても人と人との思いをつなげられることです。どんな患者さんでも「訴えてくる気持ち」があります。それを聞き出して応えていく。もちろんそのためには信頼関係をつくり出すことが前提です。いつもあいさつをしながら患者さんに『あなたのことを気に掛けていますよ』という存在を認めていますよというサインを送ります。そうすることによって。最初は心を開いてくれなくても、だんだん態度や言葉遣いが変わってきます。それを見逃さずにいるとこちらにも関心をもってもらえます。
介護は一人ではできません。みんなと情報を共有しながら患者さんの思いに応えたいです。とくに最近はますます認知症の患者さんが増えているので、もっと認知症を理解して患者さんの身になって話を聞きたいと思います。